世界の子どもたちへの健康支援の最前線で活動しているユニセフ。その中核的な活動の一つが、ワクチンと予防接種の取り組みです。
この記事では、ユニセフがどのようにして発展途上国の子供たちにワクチンを提供しているのか、その取り組みにかかる費用とは何か、そして、私たちがどうしたら支援できるのかについて解説します。
ユニセフとは?
ユニセフ(UNICEF、国際連合児童基金)は、1946年に設立された国際連合の専門機関の一つで、世界中の子どもたちの権利の保護、生活の向上、教育の提供を目的として活動しています。
ユニセフの当初の目的は、第二次世界大戦後の欧州で苦しむ子どもたちへの緊急支援でした。
その後、活動は発展途上国などの全世界の子どもたちに拡大され、現在は7つの分野(保健、HIV/エイズ、水と衛生、栄養、教育、子どもの保護、社会へのインクルージョン)での支援が行われています。
ユニセフのワクチンに関する取り組み
予防接種
予防接種事業は、ユニセフの活動の中で、最も成果をあげてきた活動のひとつです。ユニセフは、ジフテリア・破傷風・百日咳の3種混合ワクチン(DTP)、はしか、ポリオなどの予防接種を提供しています。
供給と流通
ユニセフは、世界中の多くの国でワクチンや器材の供給を行っており、最も困難な地域へのワクチンの配布も実施しています。
効果的な冷蔵と運搬体系により、ワクチンが適切な温度で保管・運送されることを確保しています。
教育と啓発
母親が十分な教育を受けられなかった場合、その子どもたちが最も弱い立場に立たされる。低所得層と中所得層のすべての母親が初等教育を受けられた場合、子どもへのジフテリア・破傷風・百日咳の予防接種率は10%増加することが見込まれ、さらにこれらの国々において、すべての母親が中等教育を受けられた場合、子どもへの予防接種率が43%増加すると見込まれている。
日本ユニセフ協会公式サイトより引用
プログラムの成功には、親たちが重要性を理解し、子供たちを積極的に接種することが不可欠です。
ユニセフは、地域社会において、予防接種の価値と必要性についての教育と啓発活動を展開しています。
また、保健所などの施設の整備、保健員のトレーニングやサービスの向上、住民への啓発を行っています。
モニタリングと評価
ユニセフは、接種率などを定期的に分析し、報告書の発行や、プログラムの改善を図っています。
ユニセフは世界子供白書を1980年から発行を続けており、2023年には『世界子供白書2023 すべての子どもに予防接種を(The State of the World’s Children 2023: For Every Child, Vaccination)』を発行しています。
ユニセフはワクチン供給から接種率の分析まで行っている
ユニセフの予防接種事業は、単にワクチンを供給するだけでなく、その接種を確実に行い、子供たちの健康と生活の質を向上させるための総合的な取り組みです。
このプログラムを通じて、子どもたちの将来の健康と幸福のために、積極的に努力し、改善を進めています。
ワクチン・予防接種事業の成果と課題
ジフテリア・破傷風・百日咳の3種混合ワクチン(DTP)
2021年、およそ81%(1億500万人)の乳児(1歳未満の子ども)が、ジフテリア、破傷風、百日咳の3種混合ワクチン(DTP)を3回にわたり接種することができた(2000年には73%であった)。
※ジフテリア、破傷風、百日咳は、5歳未満の子どもが感染すると死に至る恐れがある感染症2021年、1,820万人の乳幼児が、DTPワクチンの初回接種を受けていない。その一因は、保健サービスへアクセス欠如。また、DTPを1回しか受けられていない子どもは680万人。計2,500万人のうち60%以上が、次の10カ国の子どもたち:アンゴラ、ブラジル、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン。
はしか
2021年、はしかの予防接種を2歳になるまでに1回受けた乳児の割合は約81%。1回の接種のみだと、約15%の子どもたちが免疫を作ることができないため、免疫を確実につくって感染を防ぐために2回の予防接種が推奨されている。71%の子どもたちが2回の予防接種を受けている。
はしかの予防接種によって、2000年から2017年の間、はしか感染による死亡は80%減少。この間に推定2,110万人の命が守られたことになる。
日本ユニセフ協会公式サイトより引用
破傷風
破傷風の予防接種によって、母親と子どもたちの命が守られてきた。2017年末時点、妊産婦・新生児破傷風の予防接種は世界106カ国で導入されている。推定85%の新生児が予防接種を受けている。
2017年、新生児破傷風によって命を落とした新生児は3万848人。しかし、2000年時点と比較すると、85%の減少を遂げている。
妊産婦・新生児破傷風の根絶が成し遂げられていない国の数は、2018年3月時点で13カ国(2015年時点の21カ国から減少)
日本ユニセフ協会公式サイトより引用
ポリオ
2021年、世界の80%の乳児が、3回のポリオの予防接種を受けた。
ポリオの発症件数は、1988年には125カ国で推定35万件にものぼったが、2021年には2カ国(パキスタン、アフガニスタン)における6件と大幅に減少した。
現在、ポリオ常在国(野生型ポリオの発症が続いている国)は、アフガニスタン、パキスタンの2カ国。それ以外の国でも、特に紛争下や情勢不安な状況下で、国外からポリオ・ウイルスが持ち込まれ、発症が報告される例もある。
日本ユニセフ協会公式サイトより引用
コロナ禍を経てワクチンへの躊躇の傾向が高まる
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、予防接種の実施が困難になり、予防接種率が低下しました。
また、ワクチンは子どもにとって大切であると考える人の割合は低下した、というデータもあります。
2019年から2021年の間に合計6,700万人の子どもたちが予防接種を受けられず、112カ国で接種率が低下していると指摘しています。
また、コロナ禍の直前または最中に生まれた子どもたちは、通常であれば既に予防接種を受ける年齢を過ぎており、そうした子どもたちに予防接種を行い、致命的な病気の感染拡大を防ぐための緊急対策を講じる必要性は増しています。
例えば2022年には、はしかの発生件数が前年の2倍以上となりました。ポリオによって身体に麻痺を生じた子どもの数は、2022年には前年比で16%も増加しています。
2019年から2021年までの3年間をその直前の3年間と比較すると、ポリオによって麻痺を生じた子どもの数は8倍に増加しており、予防接種の取り組みを持続させる必要性が浮き彫りになっています。
日本ユニセフ協会公式サイトより引用
参考文献:
4月24日~30日は「世界予防接種週間」子どもの予防接種率がコロナ禍で低下今年のテーマは「The Big Catch-up」
「ワクチンは子どもにとって大切か」コロナ禍を経て日韓など52カ国で信頼度低下 ユニセフ『世界子供白書』で警鐘
ユニセフのワクチンの値段|募金でできること
私たちの募金が、ワクチン・予防接種にどのような貢献ができるかをご紹介します。
日本ユニセフ協会公式サイトより引用
- 216円
経口ポリオワクチン10回分- 635円
使い捨ての注射器(5ml)100本。これにより、100人の子どもたちが安全な器材で予防接種を受けられる。- 2,096円
ワクチン用保冷箱1個。運搬が困難な地域にも熱に弱いワクチンを一定の温度に保った状態で安全に運ぶことができる。- 554円
開発途上国の子どもの命を奪う主な病気の1つ、はしかから子どもを守るための予防接種用ワクチン10回分- 430,876円
予防接種用ワクチンを保管するために使用される太陽光発電の冷蔵庫1台- 2,249,072円
予防接種用ワクチンを一定の温度で保存するための、人が立ち入れるほどの大きさの保冷室(10立方メートル)。ワクチンを低温に保ちながら運搬する過程では必須の施設。
ユニセフへの募金方法
ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム
クレジットカードをお手元に準備していたら、申し込みは3分程度で終わります。
まずは、申込ボタン「1日33円から寄付する」をクリックします。
プルダウンメニューでは以下の金額を選択できます。
- 1,000 / 毎月
- 2,000円 / 毎月
- 3,000円 / 毎月
- 5,000円 / 毎月
- 7,000円 / 毎月
- 10,000円 / 毎月
- 20,000円 / 毎月
ですが寄付額は自由に設定することができ、500円 / 毎月から寄付することができます。
- クレジットカード
- 口座振替
のいずれかから選択します。使用できるカードや銀行の種類は、以下の通りです。
クレジットカード | VISA MasterCard JCB ダイナースクラブ AMERICAN EXPRESS DC UFJ UC NICOS JAL CARD SAISON CARD イオン OMC Cedyna TS3 楽天カード |
口座振替 | 三井住友銀行 みずほ銀行 三菱UFJ銀行 りそな銀行 埼玉りそな銀行 信用金庫 ゆうちょ銀行 地方銀行 など多数 |
口座振替だと、外部サイトに飛んで入力する内容も多くなりますので、クレジットカードでの支払いを選択することを推奨します。
- 名前
- 性別
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- Eメールアドレス
を入力し、次の画面に移ります。
口座振替を選択した場合、金融機関を選択、入力をしていきます。
Eメールでの案内も、グッズも「希望しない」を選択することができます。
この画面が表示されたら、申し込み完了です。こちらの画面をスクロールすると、以下のような画面が出ます。
オンライン登録をすると、連絡先の情報が保存され、変更の手続きが簡単になるので、このまま入力してみましょう。(公式ページからいつでも登録できるので、そのまま終了しても構いません。)
募金でユニセフのワクチン・予防接種の取り組み支えよう
ユニセフのワクチン・予防接種事業は、世界中の子どもたちの健康において大切な支援です。
これらの事業は、多くの命を救い、将来の世代に対して健康で明るい未来を提供しています。
ユニセフへの募金は、ワクチン供給、教育、保健サービスの向上など、多岐にわたる活動に直接貢献します。
募金によって子供たちの命を救い、未来の社会への投資を行うことは、私たち一人一人にできる大切な行動です。
募金を通じて、子どもたちの健康と幸福のために力を合わせましょう。